―――盛大に仕掛けようじゃないか。
祭が始まるまで後一日
遼亮が頼まれたというのにクラスの皆も一緒になって考えてくれていた
天海がビンゴなんて如何?と提案し、佐ノ口がプロレスをしようぜ!と後先考えない事を言う
奈美菜が新聞用にミスコンを開催しようと案を出し、それに見事にたっつーが釣れた
祭が近い事もあって授業らしい授業は無かった
文化祭が近い時期と同じ様な物だ。教師が甘くなる
一日中あーでもないこーでもないと論議が出来た
恋花「・・・ここまでやって結局良い案は出ない、と」
恋花がこの場で一番的確な事を言う
その言葉でクラス内全員が心を抉られた感じがした
自分で言っておいてなんだが恋花も当然抉られた
このシンクロ率。二年生になってから最も協力し合ったと口を揃えて言えるレベルだったのにである
遼亮「これじゃあ天木先輩に示しが・・・」
何を思って俺なんかに協力を仰いだのかは知らないが、ここまで頑張っても良案が出せなかったのはかなり申し訳無い
いや、まあ、何を思ってかは大体分かるんだけどさ
あれで分からなかったら人間として何か欠けてると思う
と、ふいに教室のドアが開いた
現れたのはウチのクラス内では良く見知った顔
斎「えっと・・・皆さん、如何したんですか?そんな中央に集まって」
遼亮「斎こそ如何したんだ、授業が無いからってあまり出歩くのは・・・」
斎「あの、月子ちゃんが「お兄ちゃんが悩んでるみたいだから力を貸してあげて」・・・って」
クラス内の視線が集まっているので、少しおっかなびっくりといった表情で説明する
月子がそんな事を言った事にもビックリだが、それで本当に行動してしまう斎にもビックリである
だが今はその行動力に賭けてみたくなった
もしかしたら煮詰まったこの状況で良案が出るかもしれない
そう思って遼亮達は事のあらましを斎に伝え、何か良い案はないだろうかと訊ねた
先輩という立場で後輩に手助けを頼むのは少々不甲斐無いが、今はそんな事を言っている場合ではない
祭まで一日しかないのだ。借りられる物は猫の手だって借りたい気分だった
斎「お祭の〆のイベントですか。・・・・・・そういえば先輩、月子ちゃんって火薬の調合とかも出来ましたよね?」
遼亮「ん?ああ、まあ、科薬者ってのは科学に精通している人達の事を言うらしいから出来るとは思うが・・・何をさせるつもりなんだ?」
斎「お祭といえば花火ですよ!」
斎はにぱっと笑顔を作って言った
第六十四話
「救いの女神降臨」
完