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―――作者もビックリです。

 

〆のイベントが花火に決まった事を琴音に報告した帰り道

斎が提案した事とはいえ、月子本人に承諾を得ていない事に気付いた

俺はその旨を伝えるべく、昼休みになってから一年生の教室に向かう事にした

ドアの近くに居た女子に話し掛けた際に睨まれたんだが俺は何かしたんだろうか?

結局その子は用事があるとの事で教室を出て行ってしまい、俺は仕方無く談笑していた三人娘に声を掛けた

 

遼亮「ちょっといいかな?月子の奴、何処行ったか知らないか」

 

柿ピー「ニャルテミスは確か化学室の方に居る筈ですよ」

 

遼亮「ニャルテ・・・何?」

 

柿ピー「・・・アルテミスですよ、月の女神の」

 

遼亮「君は本当に猫が好きなんだな」

 

流石に斎にゃんは分かるが女神の名前にまで猫を絡ませてくるとは思わなかった

俺が苦笑しながら言うと、日奈子ちゃんは眼鏡をくいっと上げて誇らしげに言った

 

柿ピー「ええ、例え世界を敵に回そうとも私は猫の味方です」

 

遼亮「な、成程・・・」

 

その絶対的な意志の強さに半歩後ずさってしまった

好きの程度が世界レベルとは思わなかったからだ

そんな彼女に別れを告げて化学室へと向かう

ドアを開くと確かに其処に月子は居た

が、その状態がおかしかった

 

月子「ズズ・・・あれ、お兄ちゃん、如何したんですか?」

 

遼亮「逆に俺が訊きたいよ。お前、何してるんだ?」

 

月子はアルコールランプとビーカー、それと幾つかの袋を持っていた

というよりビーカーの中で煮ていた

漫画やアニメで何度か見た事のある光景。つまり麺を茹でていた

そう、ラーメン大好き○池さんの如きラーメンである

 

月子「今日はワカメとコーン入り。・・・・・・食べますか?」

 

遼亮「間に合ってる」

 

月子「そう」

 

妹の行動に内心呆れつつも「こいつは絶対長生き出来るな」と思った

気を取り直して花火の事を話す

斎の方から一通り話は聞いていた様で意外とすんなり承諾は得る事が出来た

 

月子「花火を一から作るとなると一日じゃ如何にもならないんですが・・・お兄ちゃんは結構運が良いと思います」

 

遼亮「?、如何いう事だ?」

 

月子「ジャジャーン。廃棄処分予定だった試験管ロケットー」

 

抑揚の無い声で月子は高らかに言う

それは何処から如何見ても試験管で、何処から如何見ても黒い液体で満たされていた

 

遼亮「おい、それ本当に大丈夫なんだろうな?」

 

月子「人体に害が無い様に改良したので大丈夫です」

 

遼亮「そう、か。ならイベントの時は頼んだぞ」

 

月子「ん」

 

右手でピースを作って答える

 

遼亮「・・・ところで、改良する前はどんな性能だったんだ?」

 

月子「・・・・・・」

 

俺の問いに全力で顔を背けた

それだけでどんなのだったか一目瞭然である

 

 

第六十五話

「四十五話以来の出番」

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