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―――ナニをヤってるかはお察し下さい。

 

桜花祭が始まった

俺が斎と出逢ってからほんの二ヶ月しか経ってない

ここまで色んな事があった

なんて・・・過去を振り返ってしまうのはこれが現実逃避だという事だ

そう、俺が逃避をしなければならない程に事態は混沌へと向かっていた

 

椿「おるぁー、城戸ー、飲んでるかー?!」

 

遼亮「飲んでますよ先生・・・うわ、酒臭っ!」

 

遼亮は寄り掛かって来る椿を優しく押し返しながらげんなりと答えた

 

この教師、早々に酔っ払ってしまった様だ

 

遼亮「先生って確か酒に強いんじゃなかったっけ?」

 

尚ももたれ掛かって来る椿を必死に押し返す

同じくその事を知っている辰巳は、椿が飲んで空っぽになった酒瓶を手に取るとラベルの文字を読んだ

 

辰巳「えーっと、spir・・・・・・スピリタス?」

 

蟹崎「スピリタスって何?」

 

辰巳「世界最高純度の酒。というかむしろ劇薬に近い代物」

 

蟹崎「あー、うん、まあ、先生のこの状態を見れば何となく分かるかも」

 

遼亮「それよりも誰がこんな物を混入したんだよ」

 

スピリタスの酒瓶を抱えて眠る椿を中心に三人は溜め息を吐いた

あまりにも幸せそうな表情をしているので、誰も起こそうという気にはならなかった

そして同時刻、A組の担任である女教師が誰もが慄くハイペースでスピリタスを飲んでいた

しかも既に三瓶目。何という酒豪

 

奈美菜「うぅ、気持ち悪い・・・」

 

辰巳「大丈夫か?普段こんなに騒がないから少しのぼせたんだな。膝貸してやるから治るまで寝てな」

 

奈美菜「うん・・・何か朋君、何時もより優しい気がする・・・」

 

辰巳「あのなあ、俺は何時でも優しいだろ」

 

奈美菜「ん・・・私はそんな朋君が・・・」

 

最後まで言えずに奈美菜は寝入ってしまう

辰巳は奈美菜の髪を優しく梳く

小さく寝息を立てて眠る恋人を見ながら桜の幹に背を預けた

それから時刻は一時間程進む

手始めに佐ノ口が突然歌を大声で歌い始めて周囲にフルボッコにされていた

天海は先生の次にダウン。風で流れて来た酒気にやられたらしい

須藤と寅川は・・・その辺を走ってるんじゃないかなあ、うん

周囲の熱気に呼応してテンションが上がったらしく、他のクラスの奴と一緒に馬鹿騒ぎに向かった

蟹崎さんは隣のクラスの女子の所に遊びに行った

残った遼亮はというと

 

斎「・・・ん・・・ちゅ、あむ・・・」

 

遼亮「くっ・・・斎、そろそろ・・・」

 

桜の木が何本も集まって周囲と隔離されている場所があった

其処には不思議と誰も寄り付いていなかったので、二人きりになるには丁度良かった

最初はキスだけで済まそうと思っていた

しかし最近祭の準備の所為でする事が少なかったからか抑えるのは無理だった

と、いうよりやりたい盛りのカップルにソレは無茶な話だった

〆のイベントまで後五時間と少し

 

 

第六十六話

「祭とHは意外と関係が深い」

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