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―――わけ が わから ないよ。

 

宴もたけなわといった所で〆のイベントが始まった

桜の木々の間から打ち上げられる棒状の何か

それ等は空高く飛び上がると大輪の華を咲かせた

夏の風物詩といわれる花火が春に見られる

夜空を照らしテンション最高潮の生徒達を更に元気にさせた

酒の進みが上がる者、馬鹿騒ぎが最早事件に昇華しつつある者、恋人フィールドを形成している者

皆それぞれに行動に差異はあれど、祭を大いに楽しんでいた

 

瑞華「春の花火というのも乙な物ですね」

 

琴音「ええ、城戸さんには感謝しないと」

 

実際はその妹の月子が打ち上げているのだが、細かい事はこの際目を瞑る事にする

 

琴音「それで肝心の城戸さんは何処にいらっしゃるのかしら?」

 

花火が空に咲き、桜の木が満開になっている等シチュエーションとしては申し分無い

もしかしたらキスの一つでも貰えるかもしれない、と有り得ない様な事を妄想する

そんな事を考えながらウフフフフと臆面も無く笑いながら二年生のスペースに意気揚々と向かった

・・・先に気付いたのは少し後ろを歩いていた瑞華さんだった

 

瑞華「っ!・・・お嬢様」

 

琴音「あら、如何したの瑞華?城戸さんが見付かったのかしら?」

 

瑞華「見付かりはしましたが・・・その、立ち入らない方が宜しいかと」

 

琴音「?、如何いう意味かしら?」

 

瑞華さんは見たままを少し伏せ気味に説明した

 

瑞華「城戸様と立川様が10m先の桜の密集地帯にて、その・・・せ、性交中です・・・(////」

 

琴音はその言葉の意味を頭の中でよく反芻すると、数秒の後にボフッと音を立ててゆでダコ状態になった

なりはしたが別にしどろもどろになるとかいう事は無く平然と答えた

 

琴音「まあ、恋人という物は最終的にはそういう行為をしますもの。別段おかしな事では無いですし、その様な光景に遭遇してしまうなんて事も人生の中では大いに有り得る事よ・・・チラチラ・・・(////」

 

訂正、如何言い繕っても平然ではなかった

というか生きていてそんな場面に遭遇するなんて事はかなり稀有だ

余程運が良いか悪運が強いかのどちらかだろう

 

琴音「それにこう考える事も出来ますわよ。今なら事故に見せ掛けて城戸さんの下半身を見放題・・・あふん!」

 

流石に主の言動を見かねて瑞華さんが手を出した容赦の無いチョップが脳天に突き刺さる

 

瑞華「素面なのに暴走しないで下さい。それにその理論で行くと、『アレ』も視野に入る事になりますよ」

 

琴音「『アレ』って一体何の事を・・・・・・え?」

 

琴音の眼が斎の体のある一点で止まった

あらざるべきモノが其処には鎮座していた

プラプラと振動で揺れ、先の方からは半透明に近い液体が零れていた

思考が、いや周囲の時間が止まった気がした

 

 

第六十七話

「転機」

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