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―――立ち塞がるのなら、相手になります。

 

廊下を2度、3度と曲がる

もう何処を如何走っているのか忘れる位のランチェイス

立ち止まれば死だ。いや、誇張表現だけど多分同程度の事をされる

俺が何をしたっていうんだ?

ただ単に彼女を作っただけだろう!

そんなに悪い事なのかよ?!

・・・まあ、その昔蟹崎さんの告白を断ったという事実も存在する訳だが

 

遼亮「(しっかし、彼女の立ち直り具合には本当に感服する)」

 

翌日には皮肉を言い合う仲にまで戻っていた

むしろ告白する前より強くなっていないだろうかと思う位だった

そうこう考えている内に、何度目かの廊下を曲がる

このまま行けば1階への階段が見えてくる筈だ

1階にさえたどり着けば、後は何とでもなる・・・と思った俺がバカだった

 

遼亮「いい゛っ!?」

 

曲がった先の廊下には我がクラスメートが立ちはだかっていたのだ

左から須藤、寅川、天海、佐ノ口の4名である

友から敵へ。冗談も大概にしてくれ

 

遼亮「万事、休すか・・・」

 

一気に諦めムード一色になる

投降はしても口は一切割らんという覚悟を持って廊下を進む

この時、遼亮を含む5名は一切気付いていなかった

『その人』が自分達の視認範囲内に居た事を・・・

 

「主の想い人は、――――――わたくしの護り人です」

 

スパーンと小気味良い音が響いた

見れば4名は揃いも揃って廊下に突っ伏しているではないか

当然遼亮の目は点になった

何が起こったのか分からなかった

と、自分の横に誰かが立った

見ると、それはそれは誰もが知ってる人だった

 

「お久し振りです、只今帰還いたしました」

 

遼亮「み、瑞華さん!?」

 

この時の遼亮にとって正に救世主であり、同時に悩みの種でもあった

因みに奈美菜であるが、一人出遅れたという

 

 

第九話

「メイド」

 

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