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ドアを開き続ける

その先に目指すものがあると信じて

部屋を巡り続ける

あの人が居る事を信じて

 

【幻想識零本/弐】

 

最初の部屋
ドアを開けると草原が広がっていた
これが部屋と呼ばれるものの姿
そう頭の中で理解した
突然草の間からウサギが飛び出した
よく見てみるとウサギ耳の女の子
『あれ、初めて見る人ですね』
私からすればそっちの方が初めて見る
本当に部屋というものは色々と非常識だ


設定
ウサギ・羽流(ハネル)
最初の部屋といえばこの子なんです。
それ以外の人選は考えられない。

 

 

 


ドアを開き続ける

その先に目指すものがあると信じて

部屋を巡り続ける

あの人が居る事を信じて

 

【幻想識零本/弐】

 

二番目の部屋
ドアが無かった
しかし此処でいうドアは一方通行専用なので
無かったとしても何ら関係が無い
『ム、オ客カネ?』
殺風景な部屋の真ん中にロボットが座っている
無表情のまま挨拶をしてくる
適当に返すとあちらも無言になる
用も無いので先に進む事にする


設定
人型ロボット・ゴロウザ
入り口のドアは彼が入る時にレーザーで破壊してしまったらしい。
普通に入れよ。

 

 

 


ドアを開き続ける

その先に目指すものがあると信じて

部屋を巡り続ける

あの人が居る事を信じて

 

【幻想識零本/弐】

 

三番目の部屋
湖が横たわっている
それだけでも驚きを隠せないが
その水中から出て来たのは河童だった
あまりにも突然の出来事に
開いた口が塞がらない
そんな事はお構い無しに河童は訊いてくる
『きゅうり持ってませんか。無性に食べたくなったんですよ』
持ってる様に見えるというのか?
頭が痛くなってきたので早足でドアに向かう


設定
河童・Q兵衛(キュウベエ)
その部屋は彼にとっては素晴らしい環境に他ならない。
ただし大好物のきゅうりは落ちていない。

 

 

 


ドアを開き続ける

その先に目指すものがあると信じて

部屋を巡り続ける

あの人が居る事を信じて

 

【幻想識零本/弐】

 

四番目の部屋
何というか見るからに変なオーラが漂っている
上手く表現は出来ないが
取り敢えず負の属性である事だけは分かる
その原因は部屋の隅に居た
『ちがーう!俺が描きたいのはこういう構図じゃないんだっ!!』
机に片足を立てて声高らかに叫ぶ
関わり合いになりたくないので
そっとしておく事にした
誰だって面倒事に嬉々として突っ込む馬鹿は居ない


設定
売れない同人作家・屋嶋(ヤシマ)
扱うジャンルが特殊過ぎて、未だ人類はその域に到達していない。
だからあんまり売れない。
それでも昔からの固定ファンが居る。
頑張れ、超頑張れ。

 

 

 


ドアを開き続ける

その先に目指すものがあると信じて

部屋を巡り続ける

あの人が居る事を信じて

 

【幻想識零本/弐】

 

五番目の部屋に入る
暑い、無性に暑い
部屋の中を見渡せばジャングル
そりゃ暑いに決まってる
木々を掻き分けてドアを探す
『キキー、ウキッキキッ!』
視界の片隅に猿が見えるが構っていられない
ノブに手を伸ばして開ける瞬間
『・・・チッ、バナナもくれねえのか。これだから人間ってのは』
前に出した左足を軸にして背後の猿を蹴る
きりもみ回転しながら地面をバウンドしていく
よかったよかった猿じゃなくて
猿だったら絶対手なんか出せないもんなー


設定
猿っぽいもの・モンテスク
この物語はフィクションです。
実在の動物、人物とは一切関係ありません。

 

 

 


ドアを開き続ける

その先に目指すものがあると信じて

部屋を巡り続ける

あの人が居る事を信じて

 

【幻想識零本/弐】

 

六番目の部屋に入ると
手品師が居やがりました
『ミーのマジックはどんな所からでも脱出出来るという素晴らしい物デース!』
ほおほお、どんな所からでもねえ
それじゃあこの部屋からドアを使わずに
見事脱出してみて貰おうじゃないか
予想通り手品師は言葉を詰まらせて固まった
はっ、これだから有言不実行は嫌いなんだ


設定
マジシャン・テリオス
名前だけはカッコ良い人。
部屋はドアを使わないと出る事は出来ません。

 

 

 


ドアを開き続ける

その先に目指すものがあると信じて

部屋を巡り続ける

あの人が居る事を信じて

 

【幻想識零本/弐】

 

七番目の部屋に着いた
七という数字には思い入れが深い
ただ単純に昔から好きなのもある
そんな事を考えながらドアを開けると
目の前に仮面が居た
私は仮面に対して微笑みを向ける
『お?思ってたより普つぐぷぁっ!!』
笑顔のまま強烈な右ストレートを繰り出した
屍の上を跨いでドアから出る
仮面はピクピクと痙攣していた


設定
仮面の男・無名(ムミョウ)
前作の主人公・七紙と共に最後の部屋で眠りについた存在。
今回も彼は重要キャラとして扱われる予定。
あくまで予定である。

 

 

 


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その先に目指すものがあると信じて

部屋を巡り続ける

あの人が居る事を信じて

 

【幻想識零本/弐】

 

八番目の部屋
先程の記憶がほとんど無いが
まあ気にする様な事も起きてはいないのだろう
脳みその彼方に押しやって一息つく
この部屋は四角い閉鎖空間なのに空がある
見上げると黒い鳥が一羽飛んでいる
『■■■■■■■■■!!!!』
何を叫んでいるのかは解らない
ただ、私はあの鳥を見た事が何度もある
それこそ幼い頃から何度もだ
息を整えて出口であるドアを開ける
私の前から消えた人に会う為に


設定
黒い鳥・■■■
神代の頃より存在する聖なる鳥。
主人公はその鳥を見た事があるらしいが真偽は定かではない。

 

 

 


ドアを開き続ける

その先に目指すものがあると信じて

部屋を巡り続ける

あの人が居る事を信じて

 

【幻想識零本/弐】

 

九番目の部屋
その部屋のドアは開け放たれていた
中に誰かが居る気配は無く
何かが生息しているという痕跡も無く
部屋の真ん中に一振りの剣が刺さっているだけ
近付いてよく見てみるとそれは私も良く知っている物だった
「・・・・・・布都御魂・・・」
かの神剣が何故此処にあるのかは知らない
刀身は錆びとは無縁の如く銀色に輝いている
数十秒間見詰めていたがその場を離れる
今の私には何ら関係の無い事だ


設定
神剣・布都御魂(フツノミタマ)
七振りの神剣の一つ。
前作にも同名のキャラが居たが彼女は化身である。

 

 

 


ドアを開き続ける

その先に目指すものがあると信じて

部屋を巡り続ける

あの人が居る事を信じて

 

【幻想識零本/弐】

 

部屋と部屋とを繋ぐ部屋
ドアを開けると其処には女性が一人座っていた
顔立ちは幼いがそれでも私よりは年上の様だ
『あ、お客様ですか~?』
何というか妙にぽややんとしている
それにしてもこの女性の服装はどの時代の物なのだろうか
現代とはかけ離れた異様な服装が何とも目に付く
『此処から先はまだ入れないんですよ~

何だって?こっちは急いでいるというのに・・・
まあ急がば回れとも言うし
その時が来るまで眠るなりして待っていよう


設定
金剛真姫カエデ
頭の中にお花畑がありそうな女性。
童顔な為か少女に間違われる事もあるとか。
着ている服は多分着物っぽい何か。

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