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不思議なんて無い

不可能なんて無い

不老不死なんて在り得ない

不変なんて楽しくない

 

【幻想識零本/弐】

 

部屋は九つ毎にレベルという概念で区切られている
つまりここからはレベル2という事になる
やはり目の前にはドアがあり
私は躊躇いも無くそれを開ける
開けた先に何があろうと私は驚かない
そう、例え頭の無い甲冑が動いていたとしてもだ
『や、正直当方としては驚いて貰いたい所です』
口も無いのに如何やって喋っているのか気になったとしてもだ
私は決して目を合わせない
話し掛けもしないし触れる事なんて論外だ
見ざる言わざる聞かざるの精神でこの場を速やかに去る
それが今の最優先事項だ


設定
首なし甲冑・アーク
よくお化け屋敷でバイトをしている。
正真正銘本物のデュラハン。

 

 

 


不思議なんて無い

不可能なんて無い

不老不死なんて在り得ない

不変なんて楽しくない

 

【幻想識零本/弐】

 

第二の部屋に入る
一角獣だ、一角獣が居る
英語で言うとユニコーンが居る
もう何でもありだなと思う
『やあ、お嬢さん。どうだい私の背に乗ってみないかい?』
凄い爽やかな笑顔で言われた
だが何だろうか
この得も言われぬ嫌悪感は
それを表情に出さない様にして断る
歩くと見せ掛けてダッシュで出口のドアへ
流石馬だと言わんばかりにあちらもダッシュで追い駆けて来た
間一髪でドアの外に転がり込んだ
ざまあみろだ!


設定
一角獣・ミケランジェロ
一角獣は処女の懐に抱かれて大人しくなるという。
彼の場合はその背に乗せてあんな事やこんな事をするらしい。
詳しい内容は彼と被害者しか知らない。

 

 

 


不思議なんて無い

不可能なんて無い

不老不死なんて在り得ない

不変なんて楽しくない

 

【幻想識零本/弐】

 

希望を産み落とせと誰かが言った
絶望を祓えと誰かが言った
私にはどちらも成し得なかった
三番目に入った部屋で待っていたのはただの鏡
それこそ何処にでも在る鏡
そこに映るのはもう一人の私
何もかもを見透かす様な目をして立っている
希望を産み落とす事も出来ず
絶望を祓う事も出来ない
しかし全てを視る事は出来た
事物に潜む真の姿を映し出す事を許された中立の存在


設定
神鏡・真経津鏡(まふつのかがみ)
かの神器が何故此処に在るかは解らない。
彼女はこの鏡と向き合う事でかつての自分を思い出した様だ。

 

 

 


不思議なんて無い

不可能なんて無い

不老不死なんて在り得ない

不変なんて楽しくない

 

【幻想識零本/弐】

 

第四の部屋
ここまで人型の生物と出会っていない様な気がする
まさかレベル2はそればっかりかと思っていたら
私よりも遥かに大きな人影が居た
近付いてみても大きいと思う
まるで山かと思える人は静かに言った
『アタシは昔地獄に居た事があってね』
へえ、そうなんだ
軽く相槌を打ってドアをくぐる
鬼って絶滅してなかったんだな


設定
元獄卒・ヒビキ
誰かさんとは今でも酒呑み友達らしい。

 

 

 


不思議なんて無い

不可能なんて無い

不老不死なんて在り得ない

不変なんて楽しくない

 

【幻想識零本/弐】

 

第五の部屋に着いた
だがしかしドアが開かない
ドアが開かないのに部屋に着いたというのも変な話だ
押しても引いてもビクともしない
これは困ったと思っていると
ドアが赤くなって溶け出した
そして奥で火炎放射器を持った女性が一言
『あらあら、火力の調整を誤っちゃったかしら?』
いやいや、そういう問題じゃないだろう
他にも色々ツッコミ所があるけど
これ以上関わりたくないのでそそくさと部屋を後にした


設定
放火魔・火燐
放火魔ってレベルじゃない。
しかも無駄に美人だから困る。

 

 

 


不思議なんて無い

不可能なんて無い

不老不死なんて在り得ない

不変なんて楽しくない

 

【幻想識零本/弐】

 

第六の部屋は何というか開放的過ぎる
天窓が付いていて淡い陽光が差している
・・・開放的過ぎるだろ
そんな陽気を絵に描いた様な場所で走り回る二人の少年
『お、客だぞ!』『ホントだ、新参だ!』
こちらに気付いたのか走り寄って来る
子供の相手はあまり得意じゃない
だから半ば無視して部屋を後にしようとする
くぐり切る直前気になる単語を聞いた
『前の奴はもうちょっと友好的だったよな』『ああ、でも八回目は見てないよな』
八回目・・・?


設定
双子の兄弟・イブキ&フブキ
遊び盛りの少年もといクソガキ。
如何やら主人公が探している人物を知っている様だ。

 

 

 


不思議なんて無い

不可能なんて無い

不老不死なんて在り得ない

不変なんて楽しくない

 

【幻想識零本/弐】

 

第七の部屋に入る
先程の双子の言葉が気になる
しかしそれよりも気になるのは・・・
目の前に居る仮面の男だ
確かこの前は右ストレートで沈めたんだっけか
ならば今回はやはり
『テメエの考えは見切ってるぜ。お次は左のジャぶぐるあっ!』
頭を両端から掴んでのアゴへの痛烈な膝蹴り
こんな事もあろうかと格闘マンガで勉強していたのだ
役に立ったのは今回が初めてだけど


設定
仮面の男・無名
何度やっても懲りないね、君は。

 

 

 


不思議なんて無い

不可能なんて無い

不老不死なんて在り得ない

不変なんて楽しくない

 

【幻想識零本/弐】

 

第八の部屋に入った私を待っていたのは
何とも奇妙な空間だった
左を向けばピンクの触手を体から生やした怪人が居た
右を向けば喋る黒猫が居る
前を向けば子供の頃見た様な魔法少女が居た
『ラブリー・メモリアル・マジック!記憶の鉄槌で悪~
いアナタを悪・即・斬!!』
『メモリー、相手が怯んでいる今がチャンスだよ!』
あー、私はただの通行人
私はただの一般人、他人のフリ他人のフリ
そのまま見て見ぬフリをしつつ部屋を後にする


設定
魔法少女ミラクルメモリー&黒猫ベル
前作の「魔法少女リリカルメモリー」が大好評だったので、続編として作られたアニメの主人公とそのパートナー。
前作のキャラが特別出演しており、最終回では初代メモリーが登場した事により大反響を呼んだ。
現在でもファン達に愛されており、グッズや同人誌が販売されている。
近々三期が放送される予定である。
因みにキャラ設定が創られたのは2008年である。

 

 

 


不思議なんて無い

不可能なんて無い

不老不死なんて在り得ない

不変なんて楽しくない

 

【幻想識零本/弐】

 

第九の部屋に入るなり座り込んだ
前の部屋の出来事を今すぐ忘れたい気分だ
何だってこの部屋はああいうのしか居ないんだ
そんな私の傍に何時から居たのかキツネが座っていた
疲れて声も出ない私の頬をくすぐったく舐める
こそばゆい感触に目を細めてされるがままになる
クリームがかった色の体をそっと撫でてやると
気持ち良かったのかブルッと全身を震わせた
途端キツネはボフッと音を立てて少女の姿に変化した
ちょっとビックリしたけど「ああ、九尾か」程度だった
変化しても変わらず頬を舐めてきたけど
客観的に見ると背徳感がある様な気がしたので
別れを言って部屋を後にする事にした


設定
白毛九尾・狐磨
まだ子供な九尾の狐。
初めて会った筈の主人公に懐いているが、普通は警戒心の強い個体である。

 

 

 


不思議なんて無い

不可能なんて無い

不老不死なんて在り得ない

不変なんて楽しくない

 

【幻想識零本/弐】

 

レベル2とレベル3とを繋ぐ部屋
前回は一癖ある女性が居た訳だが
今回もそんな感じの人が居るのだろうか?
と、居た。前回の女性とはまるで正反対のこれまた女性
眼鏡を掛けたクールビューティーといえばいいだろうか
こちらに気付くと困った風に訊ねてきた
『少し訊ねたいのですが、ここまでの道中で楓模様の和服を着た女性を見掛けませんでしたか?』
如何やらあの女性の知り合いの様だ
前回の終零の部屋で見たと言うと女性は溜め息を吐いて
『全くあの娘は・・・。教えて頂き有難う御座いました。あ、それとこの先なのですが』
ああ、何となく分かってます
私に構わず会いに行ってあげて下さい
私はまた進める様になるまで時間を潰す事にした


設定
水晶麗姫ツバキ
眼鏡を掛け椿の花をあしらった着物を着ているクールビューティー。
金剛真姫カエデとは姉妹であり、ぽややんとしている妹に苦労させられている姉。

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