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そこは地獄の底より深く

宇宙の天蓋より広く

漆黒よりも尚暗かった

 

【闇の死神祭-サイドA-】

 

闇。偏に闇といっても色々ある

暗闇だとか昏闇だとか暗黒だとか闇黒だとか

ただの言葉遊びだろうと思うかもしれない

実際そうだから何も言えない

一つの取るに足らない疑問だが、人間の心の中を覗き込んだらどんな闇が潜んでいるのだろうか?

 

「(知るかよ、んなの)」

 

俺は一人口の中で愚痴る

こんなの口外した瞬間にお仕置き確定だ

そんな結果になるのなんてこの十年で嫌って程に身に染みてるし、泣けて来る程に日常の一場面になってる

他の奴から見たら、俺は死神失格なのかもしれない

 

「何考えてるの、アナカリス。言いたい事があったら言葉にしてもいいのよ?」

 

アナカリス「何も無いっすよ朱鷺江さん。ただ道分かってんのかなあって思っただけっす」

 

それはここが闇だからだ

闇。漆黒よりも尚暗い、闇黒色の塊

人間の身ではここは辛かろうに・・・

何故か一緒に行くと言って聞かないので仕方無く仕方無く

 

朱鷺江「確かに右も左も分からないわね。今どっちを向いて進んでるのか、もしかしたら私は下に落ちてるんじゃないか。とか」

 

アナカリス「大丈夫っすよ、朱鷺江さんはちゃんと前に進んでます。これで俺が居なかったら今頃は底無しの奈落にはまってますし」

 

朱鷺江「そ。感謝しないとね、アンタの能力に」

 

アナカリス「俺の魔導は正直関係無いっすよ。死神であるか無いかの差異っす」

 

それを境に口を噤む

今日は祭だった

死神が集まる十何年に一度の祭

 

朱鷺江「お弁当・・・作ってきたけど、立食とかありそうね」

 

アナカリス「や、そこら辺はどうも。俺こういうの初めてなんで」

 

・・・っつか、

 

アナカリス「アイツ以外の死神知らないんで」

 

そう、俺は知らない

俺以外の、俺が死神になった直後に出逢ったアイツ以外の死神を俺は知らない

元々死神は自然死以外で生まれる事は無い

それが最初に教えられた知識。リスタートした奴に刻まれる最初の記録

自然死なんてそうそう起こりはしない

自然災害で死ぬのと、自然に死ぬのはイコールじゃない

前者は偶然で、後者は必然だ

自然とは何か?俺はそんな哲学をここで語る様な器じゃあない

ただ俺は選ばれただけ

闇という名の世界の住人に

・・・と、思考が逸れた

そろそろ終点に着く頃だ。我が主はどの様な言葉を漏らすのだろうか?

いや、考えるまでもない

 

アナカリス「(俺の知る内で、一人だけ全うな言葉を漏らした奴が居た。アイツは今回・・・)」

 

居るのだろうか?

否、疑問文にするのもわざとらしい

今、目の前に、居るのだから

 

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