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「あー・・・眠い」

 

眠気の抜けない顔で登校する俺は主人公なのであろう

何でそんなまどろっこしい説明をするかといえば、実質俺も自分が主人公なのか如何かという事に半信半疑だからだ

といってもこうやって説明しているのだから、主人公であると主張しているといっても過言ではない

正直、自分でも何を言っているのか理解出来ていない

まあ、早朝だからというのもあるし、そもそもが寝起きという理由がある訳だから致し方無いだろう

 

「よお、鹿原。今日も可愛くキマってるな」

 

鹿原「ぐっ・・・ソレはオレにとって死にも勝る言葉だ」

 

鹿原と俺が呼んだ女子生徒がこちらを振り返る

その顔はどことなく諦めたかのようでいて、げんなりとしていて、それでいて且つ心を抉られたかのような感じだった

正直、男から可愛いと言われて嫌な顔をするのが信じられない

いやしかしオレっ娘って需要あるんだろうか?

因みにコイツは色々とツイてない奴なんだがここでは敢えて割愛する

そんなこんなで辿り着いたのが、俺達が通う「市立零条学園」であるのだが

この学園には面倒くさい物がある

その名も「条令」。早い話が校則とはまた別に存在する規則だ

これの内容がまたアホらしく、それでいて上手い具合にカオスっている

 

鹿原「お、相原ぁオレなんかよりも可愛いっつー言葉が何百倍も似合う後輩が居るぞ」

 

相原って呼ばれたのが俺なんだから俺の苗字は相原なのだ

要らない知識だがフルネームは「相原七条」という

正直、トチ狂ってるとしか思えない名前な訳だが、親戚連中でさえ何も言わなかったぐらいなのでこりゃあ全員ひっくるめてヤバイのかもしれない

 

七条「おはようさん、三条。今日も鹿原はネガティブだぞ」

 

三条馨。名前の読みはかおるだ

正直、書けと言われたら書けないと返すしかない

そして本人もよくテストの時に名前を書くのに時間が掛かると言っているので、俺のその感想もあながち間違ってはいない

先程の「条令」の件に戻るが、三条も密かに関わっている事をここに報告しておく

むしろ俺を含めて7人ほどが関与していると言ってもいい

丁度良いのか悪いのか、俺の名前と同じ数だっていうのは神様の所業なのか悪戯であらせられるのか

 

馨「おはようございます、先輩。昨日はよく眠れましたか?」

 

かなり献身的な性格で好感が持てる事請け合いである

ファンクラブとかあっても不思議じゃない

 

七条「おう、ぐっすり爽快だ」

 

鹿原「オマエ絶対徹夜でQSPやってただろ」

 

すぐさまツッコミが飛んできた

QSPとはQuickStationPotableの略称で、携帯型ゲームの一種である

しかしよく分かったものだ。顔を見ずに徹夜でQSPやってたなんて、逐一俺を見張ってないと分からない事だろう

もしかして実は俺に惚れていて毎日覗き見ていたりするのだろうか?

 

鹿原「してねーよ!如何見たって全然寝てないですって目ぇしてんだろうが!!」

 

キレる若者。おお、こわいこわい

だがまあ正直いつもの光景だ

変わり映えの無い日常を過ごすのは時々苦痛でしかないが、変わらない生活はどこか平和を感じさせる

無理に行動を起こしても逆に日常崩壊に転移するかもしれないし

だからか、俺は自堕落な自分を装うのだ

 

鹿原「完全完璧にそれがオマエの素だろ」

 

さっきより早いツッコミが飛んだ

おめでとう、君は世界記録保持者になったのだ

ツッコミ王者宇宙選手権に参加する権利を与えよう

 

馨「暴走気味ですけど続きます」

 

苦笑しながら三条が言う

そうなのだ、残念ながら続いてしまうのだ

以下次号

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