top of page
最初に胸が開いた
次に両肩が、最後に頭が
白い煙が噴き出す。その先に何か動く物が見えた
それを確認する前に懐に入られた
正直な感想では、それは尋常ならざるスピードであり、人間は未だその力を引き出す地点に立ってはいない
ならば白槌の中から出て来た影は、人間ではなく我等と同じ、もしくは本当に機械という事になる
「――――――」
見れば見る程、己の目を疑いたくなる
そいつは小柄な少女だったからである
ならば先程まで戦っていたアレは、有人型の自立兵器という事になる
その科学力に単純に感嘆はすれども、それが解ったとしても完結する事は無い訳であり、まだ闘争は続くのである
「・・・がっ!?」
懐に潜り込んでからの直接的な水月への一撃
重い訳ではないが一度に三発打ち込んだらしく、ダメージは一発分と同程度
本当に機械かと思ったが瞳の外見構造と、駆動音が無い事でそれは違うと確信した
続いてバックステップ、前宙から繋がる強烈な踵落とし
それが男の左肩に“めり込む”
破壊力や殺傷力を求めているのではない
これは最も単純な押し潰す力だ
「(コイツ、戦い慣れている。・・・いや当然か)」
白槌はその特異性からDUO(次元統合組織)から目を付けられている
奴等は次元の歪みに目ざとい
なればこそ不穏分子であるところの白槌を消そうとするからだ
「(しかしこの力、本気を出していないとはいえ俺の左肩を抉るとは・・・)」
息の乱れすら感じさせない目の前の化け物を一瞥する
機械ではないのなら同種という結論になる
しかし同種か
何だ?朱キ神のアンノウンクラスか?
それとも俺達と同じ異流種か?
神種という事は無いだろう
神様なんてそうそう現れてくれないのだから
第参動目に続く
bottom of page