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こんにちは、全国六千五百万人くらいの私のファン達
今私は旅をしている最中です
何の旅かって?自分探しとかじゃない事は確かです
それでどうも私はとても困った事態に陥ってしまったらしいのです
ええ、それはもう非常に困った事態です

 

「ぶっちゃけ、ここ・・・・・・何処?」

 

-Book Of Darkness /Rebirth.-

 

見渡す限り森、森、森
今が昼で本当に良かったと思う
もしも夜にこんな所で迷子になっていたらと思うと背筋が寒くなってくる
よくよく見ると道がある
元々道として機能していたであろう道を歩く
突然視界が開けた
目の前に広がるのはかつて家だった物達
所々朽ち果てているソレは、まるで遺跡の様にも見えた

 

「えーっと・・・だ、誰か居ますかぁ?」

 

何とか声を絞り出す
返答は無い。それもそうか、居たらこんなにはなっていない
安堵しながら廃墟の中を物色して回る
別に物取りとかいうのではないけど、興味はあったからだ
こんな廃墟群、都会じゃそうそう見当たらない
と、一軒の廃屋でホコリのかぶっていない本棚を見付けた

 

「何でここだけ・・・?」

 

廃墟になるという事は、人の手入れを受けない状態になる事だ
家という物は人が管理しないとすぐに朽ちる
他の家具にはホコリが積もっているというのに、本棚にだけ積もっていないというのは明らかにおかしい
その本棚に目をやると一冊の背表紙が一際目に付いた

「Book Of Darkness」それが本のタイトルみたいだ

 

「闇の本?・・・あ、違う。表紙に翻訳名が書いてある」

 

幸いな事に私でも読める字だ
そして、その名前を、私は何時の間にか口に出して読んでいた

 

「闇に沈んだ本」

 

途端、私は本を持ったまま倒れた
これが私と彼の出逢いの一ページ目

 


第一話
「闇本・新章開幕」

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