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闇本『お前、それ本気なのか?』

 

闇本は目の前の少女に訊く
その表情はどこか納得のいかないものだった

 

ルリ「もちろんです!ずっと傍に居た人が居なくなるのは寂しいし、それに・・・」

 

闇本『それに?』

 

ルリ「闇本さんと世界を回っていれば私の探している物も見付かると思うんです」

 

闇本『へえ、お前は何を探しているんだ?』

 

ルリ「それなんですけど・・・コレを見て貰えれば解ると思います」

 

そう言って服を右肩口から肌蹴させる
別に闇本には自分より遥か年下のガキに欲情する様な趣味は無いので、何の抵抗も無く普通に見た
そこに浮かぶのはカオスというに相応しい烙印
いくつもの幻想動物の皮膚や翼が幾重にも折り重なっている

 

闇本『こいつは・・・』

 

最初の感想は単なる興味
次に少女の口から発せられた言葉を聞いた直後に出てきたのは驚き

 

ルリ「コレは私の先祖である『生命の灰色』がその身に刻んだとされる業の烙印の一つ。唯一私だけに受け継がれた人外の記憶です」

 

生命の灰色
その言葉を、その単語を、彼は知っている
否、識っている
何故なら彼は世界を記録する本だから
世界を旅し、世界を記録し、世界だったモノを記憶している本

彼は覚えている
ソレが何時までも戦っていた事を
ソレが最後には天へ還って行った事を
今でも覚えている
それが歴史を紐解く七ページ目

 


第七話
「生命の灰色の末裔」

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