所変わって外
人の手が加わっていないというのに不思議とマナが濁っていない場所
空気が清浄なのは偏に闇本のおかげによる所なのだろうか
風が踊っている、そんな言葉が似合いそうな不思議な場所
闇本「お前の話を要約すると、その業の烙印を消すためのモノを探してるって事になるんだよな?」
本はそんな事を言う
ここは外であるから人型にはなれない
初めて逢った時の様に本の形態で話すしかない
ルリ「え、違いますよ?私は種を探しているんです」
闇本「は?種?」
ルリは言う
種とは全ての災禍を閉じ込める殻
全ての災禍を覆えるのなら、業を閉じ込める事も可能な筈
故に種を求めていると
闇本「何だ、早え話が封印したいってのか。業だか何だか知らねえがソレは魔導に近い物だ、完全に閉じ込めるなんて芸当まかり通らねえぞ?」
魔導とは己の内より発現する物
血に起因していたり、起源に関係があったり、顔も知らない前世が始発点だったりする
それを出さない様にするのは生半可な事ではない
無自覚であるのならそのまま一生を終える事も出来るが、一度知ってしまえば後戻りは出来ない
魔導とはこの世に遍く真理の一つである
ルリ「それでも良いんです。次に繋げる事が出来れば、それで」
ルリは笑う
馬鹿だ、この少女は如何しようもなく馬鹿だ
次の世代に繋げる事が出来れば?そんなのは一つの方法だ、正攻法ではない
イライラする、この少女の在り方その物がとんでもなくイライラする
この時は気付かなかったが、この少女はまるで昔の自分その物だった
詭弁では結果は得られない。それでも突き進んだ哀れな自分
闇本「決めたぞ。お前は今から俺と世界を回って貰う!」
ルリ「え、あ、はい。それは私が願った事ですが」
闇本「お前のとは根本的に違う。誰がお前の旅に付き合うか!お前は今から強制的に俺の旅に付き合って貰う!」
ルリ「え、は・・・え!?」
闇本「キリキリ働け、馬車馬の様にな!お前が自分の事を優先順位の一番上にのし上げるまでタダ働きだ!!」
ルリ「そ、そんな、横暴な!」
闇本「うるせえ馬鹿、準備したか、跳ぶぞ!」
ルリ「うぇ!?こ、心の準備がまだ出来てな・・・」
どこかガタガタで
どこもおかしくて
何時かの何かを求めていて
何時かの何処かをさ迷って
彼等は世界を渡り歩く
彼女は彼等に出逢う
それは一つの可能性として
されど世界は変わり続け
可能性は幾つも往来し
世界を記録し記憶した本は、笑い合える者を見付け
灰色の末裔は、笑いをくれる者を見付け
願わくば、何時か、何処かの世界でまた逢いましょう
闇本「結末なんて物はな、役者が考える物じゃねえ。そんなくだらねえ物は物好きな奴に任しときゃいいんだよ!」
ああ、それもまた真理
世界は、また、一巡しようとしている
闇本/Rebirth.
「終わらない物語」
完