スレイド「・・・ああ、そうだ。死神ってやつは外見が変わったりすんのか?」
女「身体には特に変化は無い。死神化の特長は魔力の保有許可承認だからな」
スレイド「魔力?んなファンタジーじゃねえんだから」
その言葉に女は目を閉じ、一言「灼」と紡いだ
直後、暗闇が照らし出された
その光源は女の手の平。そこに出現した火柱だった
俺は驚きと同時に喜んだ
これが魔力か。これがいわゆる魔導という物かと
女が拳を握ると火柱は最初から無かったかの様に消えた
女「今のは低出力で顕現させた物だが、並みの出力ならば人体を発火させる事も出来る」
スレイド「それ、俺にも出来るのか?!」
俺の目は爛々と輝いている
死んで殺す手段が無くなったと嘆いていた所にこれだ
興奮しない方がおかしい
女「使用出来る魔導にも制限はある。私の場合、生前の特殊性に起因した魔導だ」
スレイド「・・・・・・自由に選べねえって事か」
いや、だが待てよ?
それはつまり、トンでもねえ能力が付加されるかもしれねえって事じゃねえのか?
その確率も大いに期待出来るな・・・
いや、でもな。クソの足しにも使えねえ能力が使える様になっても嫌だしな
あーでもない、こーでもないと悩んでいる俺を放って女は告げる
女「ふむ、珍しいな、貴様は特異存在らしい。世界の構築者自らの指名だ」
スレイド「いや、でも・・・ああ゛?今なんつった?」
女「転移先は第239多次元世界「天星」。其処に居る『吐々貸 朱鷺江』という人間が憑依対象だ」
スレイド「は?そこは選択性じゃねえのかy・・・って、俺の腰から下が無えっ!?」
女「幸運を祈る」
スレイド「死神に言われたって嬉しくn」
最後まで言わせて貰えなかった
女は一つ息を吐き、暗闇を歩く
―――首から上は観賞用
目玉は宝石散りばめて
首からぶら下げ弄ぶ
嗚呼、愛しの貴方は今何処にいる?
第五転
「しばしの別れ」
完