top of page

弁当を食べ終わり、一息つく俺達
ホント何しに来たんだか

 

リィス「さっきから気にはなっていたんだが・・・」

 

スレイド「んー?」

 

リィス「お前の魔導は何だったんだ?」

 

一呼吸

 

スレイド「対象の生死選択権」

 

リィスは目をぱちくりさせて驚いている
お前、そういう顔も出来たんだな。すげえ新鮮だわ

 

リィス「それはつまりアレか。真にお前に起因していた魔導だった訳か」

 

スレイド「まあ、そうなる訳だな。今の俺からすりゃ「若き日の過ち」とか「薄れ行く青春時代」みてえなモンだが・・・」

 

リィス「何だその意味不明な中二病発言は」

 

スレイド「しばくぞ、てめえ」

 

リィス「まあ、確かにそれ程までの魔導を一人間が使用出来るとなると、また見方が変わってくるな」

 

スレイド「俺は現在進行形でお前に対しての見方が変わって行ってるよ・・・」

 

リィスは「如何いう事だ?」と全然解ってない風に訊いてくる

 

スレイド「まさかあの、人の話も聞いてくれない死神が人間になってるとは思わねえだろ」

 

スレイド「しかもだ、娘まで出来てるとか・・・斐綱はこいつが死神って分かってて結婚したんだろ?」

 

斐綱に訊ねる
すると意外な言葉が返ってきた

 

斐綱「死神っていうのは後で知ったかな。式挙げた時もう俺死んでたし(苦笑)」

 

確かにそんな事をさっき言ってた様な気がする
苦労してんだな、こいつも

 

リィス「・・・そろそろ良い頃合いだな」

 

スレイド「おう、帰るか?」

 

斐綱「家族が待ってるからな。娘の子守も見て貰ってるし」

 

スレイド「そか。んじゃまた機会があったら酒でも呑もうぜ」

 

リィス「スレイド・・・・・・今は楽しいか?」

 

前と変わらず冷たい笑顔で訊いてくる
それに俺はサラッと言ってのける

 

スレイド「人殺してるよか何ぼか楽しいぜ」

 

リィスは満足そうに「そうか」と頷いて斐綱と一緒に闇を歩いて行く
俺はまた一人
ポツンと一人闇の中に居る
肩をすくませて一つ溜め息を吐いて
闇の中を歩く

 

スレイド「帰れる場所があるのはまだ良い方だよなぁ・・・」

 

そんな言葉も闇は黒く塗り潰す

 


終転
「死神アナカリス」

bottom of page