あくる日の朝、私とカタルは門の前に集合した
待ち合わせの場所としてはここまでいい所は無かった
こんな朝早くでは街の誰にも気付かれない
カタル「あー・・・一つ聞くけどよ、何で素人が一緒に居るんだ?」
指差す先には一人の青年が立っていた
しっかりした体格を持ちながらも、性格面で頼りない男
姉を誰よりも愛するが故に何時までも姉離れが出来ない男
そう、ダスク=ブルーである
ケイカ「如何しても私の役に立ちたいと言って聞かなくてな」
カタル「だからってよお、一般人に毛が生えた程度の奴を連れて行くのは流石に如何かと思うぜ?」
カタルは当然だという風に苦言を呈す
戦いの経験が無い訳ではない
その実、ダスクは街の自警団で汗水垂らして頑張っている
だが自警団に所属しているとはいっても、人獣狩りの経験を一切持たない素人だ
死んだとしても仕方無い
この蝕業はそういう状況と常に隣り合わせなのだ
ダスク「人獣が如何いうモノかこの目で見ておかないと、守れたかもしれない人も守れない。俺は一人でも多くの人を守りたいんだ!」
カタル「だから連れて行って欲しいってか?」
ケイカ「もし私の連れが何かを冒した時は、私が全ての責任を受ける。頼む、連れて行ってやってくれないか」
カタルはケイカの目を見ると、やがて降参したとでも言う様に折れた
カタル「・・・わあったよ、今回はお前に免じて連れてってやる」
ダスク「ありがとうございます!」
カタル「だがな、これだけは覚えておけ。セストは生半可な覚悟で対峙出来る様な奴等じゃねえ」
それを胸に刻み込んでおけ、とカタルは空洞の様な右目を向けて言った
空には雲一つ無く、このまま歩き続ければ三日後には北極に着く事だろう
其処に何が居るのかなんて今は分からない
それでも、刻一刻と迫っているであろうその時を感じ取る事は出来た
第三片
「それは間違いなのか」
完