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ケイカがホームに帰って来て二日が経った

セスト出現の報告が出ない限り彼女達に仕事は無い

 

ダスク「仕事の方は順調なんすか?」

 

ケイカ「ホームで仕事の話はやめろと言わなかったか?」

 

ケイカは仕事だけに集中している訳ではない

時にはこうやって何も無い平和な日常も謳歌する

彼女にとってホームで過ごしている時は、仕事から解放された自由な時間だった

であるからしてホームに仕事は持ち込まない

それを何時も言っているのにダスクは問い掛けてくる

 

ダスク「いや、その、やっぱ人獣の現状を知っとかないといざって時ヤバイし!」

 

早口交じりに捲くし立てる

人獣とは人に寄生した獣を指す

所謂セストの民間での通り名だ

 

ケイカ「そのいざって時を作らない様に私達が居るんだがな」

 

人獣狩りを生業とする者は全世界に少なからず存在する

多くも無く少なくも無くといった所だ

元々人獣狩りの起源は人殺しや間引きといった類から来ているらしい

魔族であるケイカ達にとってソレ等は身近なものの筈だった

しかし何時しか人々は自分達が魔族である事をやめ、大昔の人間と同じ様になろうとしている

 

ケイカ「(そこが理解出来ない・・・)」

 

生まれた時から両親にお前は誇りある魔族の子だと言い聞かされてきた

結果的に家族は人獣に殺されてしまったが、それで魔族だという事実が無くなる訳じゃない

魔術が使えるから、人間よりも頑丈だから、そんな理由だけじゃない

人間達の影に隠れている頃でさえ魔族である誇りは捨てなかった

なのに今は捨てようとしている

よく考えれば解る事なのに、何故解らないのか

ケイカには理解出来ないでいた

 

 

第三片

「魔族として」

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