サイレンの音が響く
遠くの方から火が爆ぜる臭いがした
長い耳をすませる、距離にして1kmといった所か
差し詰めまた何処かの親父が寝煙草で火事でも起こしたのだろう
この街に住む人の三割が魔術を使うのをやめた者達だ
近年発展が進みつつある科学技術を試験的にホームに導入した人達
結果的に生活力は向上したのだろうが、時折この様な事が起こる
その度に彼等が悩むのか如何かは知らない
私はただ人獣を、セストを狩るだけだ
人並みの生活なんて、未来なんて、夢を見る事と同じだ
ケイカ「何時かは・・・」
ステラ「ん・・・ケイカ?眠れないならこうしてあげる・・・」
半分寝ている状態でステラは両腕を広げると、半ば無理矢理ケイカを胸の中に埋めた
埋めてすぐにまた眠ってしまったのか、規則正しい寝息が聞こえる
もう顔も思い出せない母親と同じ温もりだった
ケイカはそんなステラの顔を眺めてから静かに口づけをした
ケイカ「良い寝顔だ、とても可愛いよステラ」
目を細めて静かに微笑む
何時かは自分も消える時が来る
それはまだ当分先だけど・・・
ステラ、君は笑顔で見送ってくれるだろうか
ケイカ「夢は必ず叶う物だと誰かが言ったけど、私の場合は・・・」
ケイカは夢の世界に埋没する様にステラの胸に深く顔を埋めた
夜は長く、彼女の道を闇で塗り潰していた
願わくば、暖かな夢を
第四片
「歩む道の先は見えず」
完
第三章に続く
■人物設定■
ステラ=ブルー
第一片で登場する女性。
景火のホームで帰りを待つ嫁的存在。
景火とは相思相愛である為か、彼女のセクハラも拒む事は無い。
でも怒る時は怒る。そして凄く怖いらしい。
ダスク=ブルー
第二片で登場したステラの弟。26歳。
景火の事を姐さんと呼び尊敬している。
空気が読めないので、二人がイチャついている所に登場してしまう事が多々ある。
完全にお姉ちゃん子だが、普通にしていると渋カッコイイので年下にモテる事もある。