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赤「・・・!、情報収集班は近くに居るか?!」

 

邪狼「クソデカいモン引っ提げて帰って来やがったじゃねえか。二人とも、頼むぞ!」

 

「「了解」」

 

デカいという問題ではない

デカ過ぎる

予想を遥かに上回る物体値の大きさ

 

影裏「御調ノ、詳細を調ベラレルカ?」

 

御調「全長、質量ともにとんでもない大きさだ。当初の計画から外れてはいないが、被害が広がる可能性がある」

 

ドレッドノート級といえば何となくでも分かるだろうか?

それ程デカいのだ

 

先坂「いかん、空中分解を起こしたぞ!」

 

砲涯「標的が複数であればある程、俺の本領発揮だぜ!!」

 

小向井「ちっ、破片がウザってえぜ!」

 

玲莉「銃神鼓挺!今よ、グスタフ!!」

 

グスタフ「仰せのままに・・・二挺『アイガス』、『イクシオン』。―――全て撃ち落とさせていただきます」

 

天牙「墜ちろ―――天穹(ヘブンズキラー)!!」

 

姫神「第一大隊、前へ。第二から第五大隊は他の者の援護を」

 

墨枝「も~、次から次へと!すぐに墨無くなっちゃうよ!!」

 

ある者は体の周囲に大砲を浮遊させ一斉砲撃

又ある者は見えない力で物を弾き飛ばし

又々ある者はその手に持った銃で家ほどもある瓦礫を撃ち貫き

金色の碇を空から落とし、機械の兵士を操り、手にした墨汁を投げ掛け消滅させたり

多種多様の能力と十人十色の人々

 

アルカ「あーーーー、めんどくさい!一偏に壊れちゃえっ!!」

 

ある少女がその体から放った電流を

 

獅子斎「電流が氷弾を伝ってこっちにっ・・・」

 

雲流「アルカ!タンマ、タンマだ!お前の能力では他の人達を巻き込む」

 

絶縁体質の青年が取り押さえていたりもした

最早阿鼻叫喚である

其処彼処で声が上がり、時には声援まで聞こえる

見方を変えれば地獄絵図。最高の地獄絵図だ

 

菊理「情報収集班、如月蒼麻を確保完了。速やかに脱出する」

 

トランシーバーから聞こえてきた声に返事をし邪狼は前に向き直る

 

赤「自己再生があるからといっても、こういうのは慣れないな。こんな事態はもう懲り懲りだ」

 

影裏「ウム、人生アルカ無イカノ出来事ジャッタ」

 

 

七章

「変な感じで締めた」

 

上空

外殻軌道上

成層圏を抜けた遥か空の向こう側

一つのガランドウの中で

ソレ等は三度邂逅する

 

空主羽「これで良かったのですか?」

 

???「上出来だ。アレには良い薬になる」

 

空主羽「・・・・・・」

 

???「如何した?君も賛同しただろう、それとも虚言だったか?」

 

空主羽「いえ、その様な事は・・・。ただ、この様な些細な事で進化するとは思えません」

 

蒼暗い眼をしたソレは笑う

 

???「出来る、出来ないは関係無い。その過程で、その結果で何が起こるかを観測するのがコレの目的だ」

 

黒い髪を揺らして答える

 

空主羽「大神という存在は自らの知的欲求の為に、他者を巻き込むイキモノなのですか」

 

???「いや、この行動は俺だけのモノだよ空主羽」

 

空主羽「彼の口真似をしてもごまかされませんよ、大神・如月蒼麻」

 

大神「全ての存在の大元・・・オリジナルには、自分の分身のその先を知る権利があると思うがね」

 

空主羽「それは勝手な自己妄想です。分身とはいえ貴方様とは少し違う」

 

大神「ほお」

 

ソレは黙って聞く

 

空主羽「性格や思考、在り方や存在意義。様々が貴方様とはズレている、貴方様とは別の存在であると云える」

 

大神「中々面白い見解だ」

 

空主羽「いえ、大神に対して出過ぎた真似を。お許し下さい」

 

大神「気にするな。・・・しかし、ふむ、良いアドバイスを聞いた。次は少し見る角度と趣向を変えてみよう」

 

空主羽「全ては御身の仰せのままに」

 

大神「では行くか。なに・・・大神にはなれずとも、中神にはなれる」

 

空主羽「勿体無きお言葉。至極感謝致します」

 

そうしてソレ等はその次元から消える

その際の軌跡はまるで流れ星

次はどんな彼を見せてくれるのか

それだけを考えて、ソレは笑う

 

 

八章

「起源」

 

全てを超える者。全ての頂に在る者

それが大神・如月蒼麻。多次元多世界に散らばった幾人もの如月蒼麻体系の大元

それが彼。・・・いや、もしかすると彼もまた大きな渦の一部なのかもしれない

 

 

メガホンを取る

息を思いっ切り吸い込み、叩き付けた

 

邪狼「お前等、生きてるかーーーっ?!」

 

一同「うぃーっす」

 

其処彼処に無数の、小さいながらも破片の山が出来ている

これが数時間前までは巨大な質量の物体だったのだから驚きである

 

邪狼「うん、まあ、これ以上の災害は当分無いと思うから心配すんな」

 

その言葉に多少なりとも肩の荷が下りる

こんな事がそう何度もあってたまるかという風に

 

赤「はいはい、ちゃんと並べよ。おい、そこ、二列になるな」

 

赤は労いの料理。疲れた体に染み渡る

 

影裏「怪我人ハコレデ終ワリカ?・・・ン?大丈夫ジャ、オ父サンノ傷ハモウ治ッタカラノ」

 

影裏は治癒の魔術を生かして怪我人の回復

誰も彼もが己の役割を果たしている

そこにあぶれている者は居ない

それは、とても幸福な事だ

とても・・・

 

 

九章

「地上の幸福」

 

もうネタが無い。レッドストーン兵器廠出し忘れた

 

 

蒼麻の部屋

そこでは遠方から帰って来た弥生が一人看病をしていた

 

弥生「蒼麻さん・・・」

 

さして大きな傷は無い

しかし昏々と眠っている

ソラで何があったのか、それは当人以外分からない

今彼女に出来るのは看病だけである

そして目覚めた時の為に傍に居る事も大切な事

 

弥生「ぁ・・・」

 

蒼麻の目の端から涙が零れ出る

弥生は蒼麻の手を握る

少しでも彼の力になれたらとそう願って看病を続ける

 

此処は夢。夢の中。

誰かの夢であり、お前の夢でもある。

人の夢。動物の夢。植物の夢。

そして世界の見る夢。

起きよ、そなたはまだやるべき事がある。

この世界、そなた無くして理は動かぬ。

さあ―――起きよ。

 

蒼麻「・・・・・・っ」

 

弥生「蒼麻さん!」

 

両目に少量の涙を溜めて、笑顔で迎えてくれる弥生

さっきの夢は何だったのか?

おぼろげな夢の内容、何かを言われた様な・・・

検閲か。封を施すのが誰なのかは知らないが、要らない事をしてくれる

何故全てを見せない。全てを曝け出さない

だけど・・・

 

弥生「蒼麻さん・・・良かった。目を覚まさないんじゃないかと思って・・・」

 

そんなの今は如何でもいい

自分の為に泣いてくれる人が居る

自分の為に笑ってくれる人が居る

今は、それだけが心地良い

 

 

十章

「帰るトコロ」

 

 

弥生の肩を借りながら蒼麻が境内に出て来る

無事な姿を見て住人の数人が駆け寄る

 

小向井「よお、如月!もう体はいいのかよ?」

 

蒼麻「見れば分かるだろ、小向井。今お前の相手したくねえんだよ」

 

小向井「んだとテメエ!」

 

蒼麻「闘るか?186戦目の決着、此処でつけてやってもいいんだぞ?」

 

小向井「上等だ!脚を出せっ!!」

 

弥生「やめて下さい、蒼麻さん!」

 

邪狼「ストーップ!」

 

弥生の拳が蒼麻の右脇腹に食い込んだ

それと同時に邪狼のメガホンからの大声が小向井の耳を直撃

 

蒼麻「うらけんっ!!」

 

小向井「こまくがぁっ!!」

 

のた打ち回る二人

上下が反転した二人

 

邪狼「ったく・・・どっちも疲労困憊だろうが。これ以上傷を増やすなっつーの」

 

その光景を見ながら、他の数名は冷や汗

顔が青白い者まで居る始末

それだけ二人の惨状は酷い物だった

 

 

前楽章

「過去の邂逅が原因」

 

 

其処は此処ではない場所

此処は神の座。幾多もの次元が折り重なった場所の中心

下から順に小神、中神、大神が存在し、次元世界の観測を行っている

その内容は様々だ。個々から多々まで、狭小から広大まで

神の座の頂に最も近い席に三人の神が居た

大神・如月蒼麻、邪狼、そして空主羽

 

大神「大神は次元世界その物に干渉出来る。中神は世界を管理する者へ、小神は国を管理する者へ干渉が出来る」

 

空主羽「成程、神の役割は認識出来ました。ですが何故わたしは此処に?」

 

大神「神へと成る為には、その世界の神の認可が必要だからだ」

 

邪狼「故に俺様が召集された。天星世界の事柄は俺様無くしては進まない」

 

空主羽「天星・・・」

 

邪狼「兵装を付けたのは済まないと思っている。結果的にお前に重荷を背負わせてしまった」

 

空主羽「謝らないで下さい。今回の事がわたしと彼を出逢わせ、結果的に良い方向に働いたのですから」

 

大神「天星よ、此度の迅速な処置を全能神は好評価されている。今の御身には三席昇位を下された、受け取るがいい」

 

邪狼の答えは既に決まっている

 

邪狼「全能神の計らいは大変嬉しいが、此度は辞退させていただく。俺様が創った世界だ、罪は全て俺様が被る。だから・・・」

 

大神「いいだろう。全能神には我から言っておく」

 

邪狼「すまん、任せた」

 

大神「気にするな、君と我の仲だろう」

 

神とは

神とは一体何なのだろう

何を考え、何を行い、何を導くのか

神とは一体・・・

 

 

終章

「大神」

 

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