この物語の時系列は外伝「八姉妹編」3より後です。
それと外伝/弐-トライ-の後でもあります。
ジングルベール、ジングルベール、鈴が鳴る
クリスマスといえばこの歌
天神町も例外無く、駅前から商店街までクリスマス一色になっている
其処に降り立つ八人の女達
今年は何処か今までとは違う日になりそうだった
カナ「・・・という訳」
蒼麻「何が『という訳』だ、全くもって前後が読めないぞ」
赤「まさか来て早々第一声がソレとはな」
嵐「今日はご招待していただきありがとうございます」
ペコリと玄関先でお辞儀をする嵐
クリスマスだという事で友人等を呼んでパーティーをしようという運びになった
だが友人らしい友人が揃って留守にしていたので、嵐達姉妹を呼んだのである
結果、まさかあんな事になるとは思いもしなかった
蒼麻「あれ、そういや冷の奴は如何した?」
パーティーが始まって少しして気付く
トレイタ「ああ、アイツなら今頃研究所さ。機械は人とは違って気を遣わなくていいとか何とか・・・」
暁「あの子そんな事言ったの?はぁ・・・駄目な妹を持つと苦労しますわ」
蒼麻「僅差でお前が妹だろ」
そう、冷と呼ばれている女性と、目の前に居る暁は双子なのである
しかも生まれた時間は秒単位。二人の性格からして姉だ妹だ等と議論する事も無い様だ
そんな暁はワイン片手にソファーに腰を落として無言で飲んでいた
自分も双子として生まれてきたので何となくは理解出来る
と、腕組みをして暁を眺めていた俺の所へ嵐がやって来た
嵐「蒼麻さん、楽しんでますか?」
蒼麻「ん?ああ、まあな」
嵐「・・・・・・あの、蒼麻さん。私、子供は一人でいいですから(////」
蒼麻「ああ、分かった・・・・・・・・・へ?」
あまりに自然に言われたので反射的に返事をしたが、何か今凄い事言われなかったか?
口を馬鹿みたいに開けっ放しで嵐の次の言葉を待った
嵐「ふふっ、冗談ですよ。あ・な・た♪」
そう言ってほっぺたにキスされた
唐突な流れに流石に閉口してしまう
嵐はそのまま料理の載ったテーブルの方へと立ち去って行った
俺は「クリスマスだしこんな展開があってもおかしくないか」等と平静を装いながら胸の鼓動を鎮めるのに努めた
そうして皆に酒が出回った頃に悲劇は起こった
秋「これはひどい」
赤「勘弁しろよ」
「・・・・・・(`w´)」
白槌だ、何処から如何見ても白槌だった
その機械仕掛けの鬼が、社務所の壁をブチ破って突っ込んで来たのである
その場に居る全員がポカンと固まってしまった
そんな事は何処吹く風と装甲が開き、高温の蒸気を撒き散らしながら中から葉月が出て来た
葉月「暑寒い」
そりゃそうだ
高温の蒸気で暑いだろうし、壁なんかブチ破るから部屋の中なのに外気で凄く寒い
もっと言うなら葉月の場合は汗が冷えて寒いのもある
分かり易い図式であった
続くんよ
誰もが驚く登場をした葉月だったが、そこからは他の人と何ら変わりはしなかった
よく来たなと声を掛けながら肩をポンと叩くと、意外な事に今日は反撃して来なかった
何時もと違う対応に一瞬疑問に思ったが、ブチ破った壁を直す姿を見て納得
蒼麻「(成程、口では言わないけど済まないとは思ってるんだな)」
良い子に育ってくれて良かった等と思いながら後ろから近付いた
と、思ったら次の瞬間には外に投げ飛ばされていた
上げて落とす作戦かー、お父さん詰めが甘かったよー
俺の体はそのまま雑木林に消えていった
弥生「葉月、お父さんにじゃれつくのもいいけど、今夜はパーティーなんだから一杯楽しみなさいね♪」
葉月「ん」
赤「何処を如何見たらそんな解釈になるんだ」
すかさず赤がツッコミを入れた
その時、玄関の呼び鈴が鳴った
赤「む?招待したのは嵐達だけの筈だが・・・」
誰だろうと思いつつ尚も押し続けられている呼び鈴を止める為に玄関に立つ
赤「いい加減迷惑だからやめてくれないか・・・・・・どちら様?」
少年1「すいません、後で叱っておきますんで。所で蒼麻さん居ますか?」
赤「蒼麻なら・・・ほら、後ろに雑木林があるだろ。その何処かに刺さっている筈だ」
目の前に広がる鬱蒼とした雑木林を指差しながら説明する
その答えに厳つい顔をした少年はもう一人の少年に聞いたままを言った
それを聞いた少年は雑木林に入って行き、数分と経たずに戻って来た。その後ろに土塗れになった蒼麻を従えて
少年2「何でお前あんなトコに犬神家よろしく刺さってたんだよ?」
蒼麻「いや、だから説明しただろ。娘が来て放り投げられたんだよ」
少年2「言ってる意味が全然分かんねえから」
少年1「小向井、蒼麻さんの言ってる事は中に入れば解ると思うぞ」
小向井「マジで?つかタゴサクとメー子は何やってんだよ?」
タゴサク「何って説教だ。意味無く呼び鈴を連打したからな」
メー子「いや何ってゆーか、ああいうの見ると連打したくなっちゃうとゆーか、ロマン的な事が働いちゃったとゆーか」
蒼麻「ピンポンダッシュならまだしも、呼び鈴連打は耐久値下がるからどっちかっつーとやめてくれ」
メー子「ラジャーです」
蒼麻の正論に少女は敬礼のジェスチャーをしながら答えた
赤「・・・で、この三人はお前の知り合いでいいんだな?」
何故かドッと疲れた様な視線で確認してくる赤
それを見て何となく察すると俺は悪ふざけ無しにそのまま答えた
蒼麻「ああ、そこの高校に通ってる小向井と田五沼と繰波だ」
小向井「ちーっす!」
タゴサク「突然ですいません、迷惑を掛けるかもしれませんがお世話になります」
メー子「わーい、ケーキに七面鳥だー!♪」
タゴサクを取り残して足早に靴を脱ぐと、一目散に料理に駆け寄って行く二人
それを見て恥ずかしそうにペコリと謝るタゴサク
苦笑しながらそれに丁寧に応える赤
最後はタゴサクも靴を脱ぎ、丁寧に揃えお邪魔しますと宴に加わった
蒼麻「良い奴らだろ?」
赤「先の二人が元気過ぎて田五沼君も大変だろうな」
蒼麻「まるで俺達みたいだな」
赤「自覚があるんならもう少し節度を持てよ。お前の相手は俺以外には務まらんぞ」
蒼麻「いいじゃねえか、それでも。俺が大人しくなったら毎日楽しくねえと思うぞ?」
赤「・・・ふっ、その意見にだけは賛成だ」
夜は更けていく
それでも何も恐れる事は無い
だって朝は何時だってやって来るものなのだから
続きますよ
蒼麻「って、まだ続くのか!?」
謎の美少女A「だって私がまだ紹介されてないじゃん」
赤「ふむ、そういえば最初から思っていたが、誰だ君は?」
秋「確かに・・・今までセリフすら無かったけど、僕達には見えてるからね」
謎の美少女A「ふふふ、聞いて驚け見て驚け!私こそが人類が未だ到達せぬ域に存在する唯一のキャラ・・・」
蒼麻「最近姉妹入りしたルーンだ。因みにこれでも第七世代型デバイス」
ルーン「だっから何でそういう事するかな、アンタは!?」
蒼麻「いや、もう時間もあまり無くてさー。どうせキャラ紹介の時に詳細な設定は載せちゃうしー」
ルーン「時間有り余ってんじゃん!ってか棒読みをやめろよ!!」
秋「つまり、こんな人?」
蒼麻「こんな人」
赤「こんな人か」
ルーン「そんな残念な人を見る様な目で見んな!初期設定じゃもっとサバサバしてたでしょうが?!」
作者「いや、だってその文章、例のHDD事件(※)で消滅しちゃったし」
ルーン「何その作者らしからぬ発言!?」
そして唐突に終わる
※恐らく第四次HDD(の中身初期化で全部消えちゃった)事件の事。